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試着専用店舗で顧客開拓 コヒナとWWS


 ファッションのD2Cブランドはコロナ禍で試着専用店舗の開設などに乗り出し、新客開拓や既存顧客との接点を強化している。155センチ以下の小柄女性に向けたD2Cアパレルブランド「COHINA(コヒナ)」を展開するnewn(ニューン)は、コロナ禍でも順調に売り上げを伸ばしている。

 顧客接点の場としてはインスタグラムを重視する。インスタライブを毎日配信しているのも特徴で、普段はOLや主婦をしている一般の小柄女性10人程度が”ライバー”として活躍。フェンディ 服コロナ禍でも毎日配信を続け、5月10日にはライブ配信が連続700日となった。

 昨年からはマス向けのプロモーションにも着手。9月に東京ガールズコレクションに出演し、ライバーもランウェイに立った。11月には新潟県限定で初のテレビCMを放映したほか、20年冬シーズンには女優でモデルの高橋愛さん、21年夏シーズンは女優やタレントして活躍する山本舞香さんをモデルに起用したルックブックを公開するなど、認知拡大に向けて露出を強化している。

 今年5月14日には、東京・表参道に試着専用店舗を開設。これまでポップアップストアは開催してきたが、実際に商品を見てみたいという消費者が多いことや、ポップアップでは開催期間中に来店できない既存顧客も少なくないため、8月末まで当該店を開く。

 在庫を持たない試着店舗とすることでバックスペースや店舗自体の面積も抑えて家賃を圧縮できるなど出店リスクを最小限にした。コロナ禍もあって店頭のスタッフ数も抑えてミニマムな機能を持たせた。ライブ配信に出演する一部のライバーも店頭に立ち、服をキレイに着こなすコツなども伝える。

 9月以降については、試着店舗の利用状況も検証し、試着店舗に限らず店舗展開を検討していくという。


 一方、作業着スーツ発祥のボーダレスウェアブランド「WWS(ダブリューダブリューエス)」を手がけるオアシススタイルウェアもコロナ禍で好業績を続けている。同社は自社ECが主力販路で、ECで商品を売るための戦略のひとつにタッチポイントとしてのリアル店舗がある。

 商品の機能性を実際に体感したいという消費者の声や、潜在顧客とのタッチポイントの場として都内や兵庫、福岡に直営店を設けてきたほか、期間限定店も出店してきたが、敷地面積によって限られた商品数した展開できず、顧客が要望する商品が用意できないこともあったという。

 そこで、4月28日には初のショールームストアを東京・新宿三丁目に開設。現在展開している全商品、全サイズ、全カラーをそろえる。ショールーム型の販売体制を採用することで店頭の過剰な在庫保持を避けるとともに、空いたスペースを活用して写真撮影やライブ動画を配信するスタジオ機能や、法人との商談スペースなどマルチに活用できる空間として運営する。また、新商品を発売前に見られるようにすることで付加価値を高める。

 なお、「WWS」は主力のジャケットやパンツの素材が独自開発した1種類の生地を使用していることもあり、サイズ感が分かればECでも購入しやすいという特徴もある。